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よくある害菌の詳細解説

 

アナタケ

アナタケ
 
   
アナタケ
特徵
最初粉毛状小皮膜としてあらわれ、ほだ木樹皮面に広く拡布し傘を作らない。
生時は皮質であるが乾くと硬くもろい。全体汚白色であるが、周囲は白色~淡黄褐色。
表面に円形~多角形の管孔を有するが、ほだ木上では歯牙状~迷路状などに変化していることが多い。
発生
シイタケ栽培における代表的害菌の一つで、通風が悪く陰湿な場所に多発生する。
特に仮伏せ期間の長いほだ木に発生しやすい。菌糸の生育適温は30℃。
対策
原木の死節に本菌が発生していて、シイタケ菌植菌後全体に伸展している場合が多くみられるため、死節の回りには余分に植菌する。伏せ込み場、ほだ場の清掃、排水と通風をよくする。仮伏せのまま梅雨を越させるようなことは絶対にさけなければならない。
 

アラゲニクハリタケ

アラゲニクハリタケ
 
   
アラゲニクハリタケ
特徴
粗毛の下に濃褐色の下皮がある。
下皮の下の肉は軟質のフェルト状で、白黄~橙平色。傘の下面の針は細長く錐状、
色は明橙黄色~橙平色、長さは1~2㎜。特 徵
傘は貝殻状または半円形、有茎のものもあるが時に茎がなく基部が背着する。
また隣接する傘と癒合することもある。大きさは2×3.5㎝厚さ2.5㎜で傘の背面には環紋があり短い粗毛を有す。色は白黄~橙平色、古くなると白橙~淡汚黄色となる。
縁はスムースまたは波状。肉は強靭で繊維質。
発生
クロボタンタケと同様に直射日光を受けたほだ木に発生するが、主としてクロボタンタケにより侵害を受けた後に発生している。菌糸生育の最適温度は32~34℃。
对 策
日光の直射を防ぐことにより100%予防可能である。したがって日陰の不十分なところに笠木、あるいは人工日陰を補充することが大切である。
 
 

オシロイタケ

オシロイタケ
 
   
オシロイタケ
特 徵
傘は半円形、扁平~丸山形、大きさ2 ~10×1~5 cm 厚さ0.5~2 cm生時は白色で傘の背面は毛羽立ち乾燥すると灰色~淡黄褐色を呈す。肉が生時は白色で軟らかく多量の水分を含み、西洋梨に似た芳香を有す。乾燥すると堅くもろくなり芳香を失い、ややクリーム色の色調をおびる。かむとやや酸味を感じる。厚さは0.2~1.5cm。傘の下面は生時白色であるが乾くと黄褐色の色調をおびる。孔管は小さく長さは5mm、孔口は角張る。
発生
シイタケ菌糸の蔓延不良な、2~3年ほだ木に発生が多い。梅雨~秋期にかけ通風不良の陰湿地に発生が多い。
菌糸の生育適温は約25℃。
対 策
通風、排水ともに良好な場所を選定し、シイタケ菌糸の伸長を促進する。
 

カイガラタケ

カイガラタケ
 
   
カイガラタケ
特徵
傘は半円形~貝殻状、巾2~10㎝厚さ0.5~1c㎝で背面は粗毛を密生し、黄白色~灰白色~灰褐色~暗褐色など多数の同心的環紋を有す。肉は厚さ1~2㎜ 白くて皮質、背面の毛の下に暗色の皮層がある。傘の下面は放射状にならび、しばしば分枝したひだを有す。
ヒダの間隔は約1㎜、白〜泥黄白~灰白色。
発生
カワラタケとともに発生も多く被害も大きい。 発生環境はカワラタケに近似し、通風不良でむれやすい場所に発生が多く、カワラタケに比べて直射日光をより多く求める。
菌糸の生育適温は25~30℃。
対 策
日陰を十分に行ない、通風良好な場所を伏せ込み場として選ぶ。梅雨~夏期の下草刈りを履行する。
 

カワラタケ

カワラタケ
 
   
カワラタケ
特徴
傘はふつう半円形、径1~5㎝厚さ1~2㎜、じょうぶな皮質で多数が重なり合い、屋根瓦状に生える。傘の背面は暗藍色~黒色、また灰・黄褐・暗褐・黒色などの環紋をあらわし、短密毛をおびる。肉は白く、背面の毛の下に薄い暗色の皮層が発達する。傘の下面は白色~汚黄白色~灰色を呈し微小な管孔を有す。
発生
日光が差し込みやすく、かつ通風不良な蒸れやすい場所に発生しやすい。発生、
腐朽力、被害ともに大である。菌糸の生育適温は約30℃。
対策
通風、排水の良好な日陰地を選定し伏せこむ。梅雨時期には下草刈りを十分行う。
 
 

キウロコタケ

キウロコタケ
 
   
キウロコタケ
特徵
子実体は初めほだ木面にコウヤク状に拡布するが、のちに反転して半円形の傘となって張りだす(半背着)。傘は1~3㎝厚さ約1㎜、皮質で強靭。傘の背面は灰白色~灰黄色の毛を密生し、環紋模様をあらわす。下面の胞子を作る面(子実層)は最初鮮やかな橙黄色~淡黄白色。のち色あせて黄色味を失い、表面はなめらかで、針、穴、ひだはない。断面は粗毛層の下に薄い黄褐色の皮層があり、細い線として見える。
発 生
シイタケ菌が蔓延していないほだ木に侵入する。栄養を横取りするタイプ。
やや湿潤な暖かい場所に発生が多く材の白腐れを起こす。腐朽力、被害とも中程度。
菌糸の生育適温は25~ 30℃。
対 策
原木は適期伐採をし、風通しのよい場所に伏せ込む。
 

クロコブタケ

クロコブタケ
 
   
クロコブタケ
特徵
4~7月頃、ほだ木の樹皮亀裂部および木口面に浅黄緑色のカビ(不完全世代)を形成する。8~9月になるとカビの間にきのこ(子座)を形成する。きのこは半球形で、直径2~7㎜、黒色で硬く炭質である。(たがいに重なり合って不規則な形をとることもある。)これは菌学的には子座と呼ばれるもので、径3~20㎜ある。子座の表面をルーペで見ると同色の少し隆起した小粒点が散生しているのがわかる。これは子のう殻の孔口である。
発生
原木への侵入は10月頃から5月頃に起こると思われる。
本菌は4月中旬頃よりほだ木内に侵入するものと推察される。一般に風通しの悪い高温多湿な場所で被害が大きい。菌糸の生育適温は25~30℃
対策
原木を十分葉枯したのちに玉切る。4月中旬以後の日光の直射をさけることが大切であり、高温多湿になりやすい場所をさけ、通風、排水を良好にする。生木の原木を使うと感染率が高くなるので原木に直射日光を当てないこと。過乾燥により被害が拡大する。
 
 

クロボタンタケ

クロボタンタケ
 
   
クロボタンタケ
特徵
日光の直射を受けたほだ木を、雨後観察すると、ほだ木の樹皮の亀裂や傷口から白い菌糸が生育し、同心円状に広がり、つづいて中心部から緑色~濃緑色をおびてくる(胞子の成熟)
さらに環境の変化にともない、菌叢内部(きんそうないぶ)に菌糸の集合によってできたボタン状のキノコ (子座)を形成する。この子座は表面が波状で円盤状の径4~12㎜、厚さ1~2㎜の大きさで最初は淡緑色で、成熟するに従って淡褐色~黒褐色に変化する。乾燥が長くつづくとこの子座ははがれてほだ木から落下し、一見完全ほだ木のようにみえる。
発生
本歯はシイタケ菌を殺していく病原菌的な害菌であり、本菌の発生は直射日光を受けたほだ木に限られる。全国の約25%のシイタケほだ場で被害を受けている。菌糸生育適温は28~36℃。本菌の発生したほだ木上には多くの場合、アラゲニクハリタケが続いて発生する。
対策
シイタケ菌糸の蔓延したほだ木は、数時間たりとも直 射日光にあてない。伏せ込み中の笠木および人口日陰の補充、裸地伏せ込み、ほだおろしは雲天日、もしくは気温の低い
11~3月の期間に行なう。本菌の発生したほだ木のフレーム栽培はさける。
 

ゴムタケ

ゴムタケ
 
   
ゴムタケ
特徵
キノコは弾力のある寒天~ゴム質、はじめ球形のちに倒円錐状のコマ形、あるいは浅く窪んだすり鉢形で、大きさは径1~4㎝高さ1~2.5㎝くらい。上面は浅く窪みこの部分に胞子を形成する。上面は初め赤褐色、のちに帯紫黒色、側面は初め淡褐色、のちに暗褐色となり、成熟したものでは全体がまっ黒となる。子のう菌類に属す。
発生
初年ほだ木の樹皮、特に亀裂部に梅雨頃から発生する。シイタケ植菌後、通風不良で生木状態のつづくほだ木に発生が多い。本菌自体による被害は軽微であるが、本菌の多発する環境ではシイタケ菌の生育が悪い。菌糸 生育適温は25~30℃。
対策
原木の伐採期を早め、十分乾燥したのち玉切る。水はけ通風良好な場所に伏せ込むことが大切。多発生発見した場合には、すみやかに周囲の雑木、下草を刈りはらうとともに、風通しのよい伏せ込み方法に改善する。
 

シトネタケ

シトネタケ
 
   
シトネタケ
特徵
梅雨頃、初年ほだ木上に黄赤色~橙緋色の巻ひげ状の胞子角(写真)が現われる。これはシトネタケの分生胞子時代である。その後、晩夏~秋に外樹皮下にコウヤク状のキノコ(子座)の形成が始まり、同時に外樹皮が剥離してくる。キノコは 冬~早春に成熟し、それにつれて外樹皮の剥離も拡大する。若いキノコは褐色~赤褐色であるが、成熟にともない暗褐色~黒褐色になる。
発生
本菌の分生胞子は発芽能力がなく、伝播は子のう胞子による。子のう胞子は冬から早春にかけて成熟し飛散する。この胞子は20℃で最もよく発芽し、ほだ木への初期感染は3月初旬〜中旬である。特に直射日光を受けて温度の上昇したほだ木に感染しすい。この害菌の菌糸生育の最適温度は約 25℃である。シイタケ菌糸の生育は本菌により著しく抑えられる。
対策
原木は適期に伐採し、冬の低温期に十分乾燥させる。日光の直射によるほだ木温度の上昇は、本害菌子のう胞子の発芽を促進するため、3月に入ると直射日光を避けるようにする。
 

スエヒロタケ

スエヒロタケ
 
   
スエヒロタケ
特徵
傘は扇形または手の平状に裂け、茎を欠く。大きさ1~3cm 背面は帯灰白色で、あらい毛を密生している。ひだは白色~淡肉色または帯紫褐色で、そのふちは縦に 裂けて2枚ずつ重なっている。肉は皮質で強じん乾けば縮まるが、水分を得れば原形にもどる。
発生
初年ほだ木に発生が多く、特に8~4月頃から陽光の直射を受けたほだ木に発生しやすい。 多発したほだ木は、乾燥状態となりほだ化が遅れる。被害は軽微。菌糸の生育適温は28~35℃。
対策
日光の直射を防ぐ(笠木、人工日陰の補充) 3~4月の陽光であっても注意が必要である。
原木表面だけの急激な乾燥をさける。
 

ダイダイタケ

ダイダイタケ
 
   
ダイダイタケ
特徵
はじめ樹皮亀裂部に発生しやすく、樹皮面、木口面にコウヤク状に拡布する。のちに反転して扁平で不規則に屈曲した皮質の傘をつくる。上下合着し多数群生する。傘の背面は帯褐黄色でビロード状の密毛を有し、環紋をそなえる。縁は薄く鮮黄色。子実体の断面は上下内層に暗色の境界層があり、その間に鮮黄色の薄い肉をはさむ。傘の下面は管孔を有し、生育時は黄色のち誘褐色となる。
発生
植菌後早くから発生する。通風が悪く、湿度の高い場 所に発生しやすい。特に原木乾燥の不十分なほだ木に発生しやすく、大径木、切り株に近い玉切り原木などに発生が多い。本菌の発生したほだ木の材面には、暗褐色の細線が多数みられる。菌糸の生育適温は28℃。
対策
原木の伐採期を早め、十分葉ぼしをしたのち玉切る。玉切り原木はそれまで上面になっていた部分を下にし、均一に乾燥をするようにつとめる。排水、通風良好な場所に伏せ込む。
積み替え下草刈りを履行する。
 

シワタケ

シワタケ
 
   
シワタケ
特徴
子実体は初め樹皮面、木口面にコウヤク状に拡布し、のちに反転して傘になる。したがって背着生で傘の形は半円形~棚状となる。大きさは2~8×1~1.5cm、厚さ2~3㎜、傘の背面は白色で粗毛を密生する。傘の下面から樹皮に付着する部分は淡紅色~帯肉色でたがいに連絡して網状になった浅いしわがある。見方によってはこの部分は大形の浅い孔のようにみえる。肉はややカワ質をおびて柔軟だが、乾くと軟骨質となる。
発生
ほだつきの不良なほだ木に発生しやすい。年により2~3年ほだ木に梅雨期~秋期に大発生をみる。沢の付近や湿地で通風が悪く暖かい場所に発生しやすい。材の白腐れを起こす。
菌糸の生育適温は約30℃。
対策
排水、通風ともに良好な場所を選定し伏せ込み場とする。初年度におけるシイタケ菌糸の伸長を促進する。
 

ワサビタケ

ワサビタケ
 
   
ワサビタケ
特 徵
傘はじん臓形、径1~2cmくらいで、多数重なって発生する。茎は短く傘の側方につく。
全体淡黄褐色~淡肉桂色でやや皮質、傘の背面は平滑、ふちは下方に巻いている。
ひだは巾狭く密である。かむとワサビのように辛い。
発 生
初年度は夏から秋にかけて、特に木口面に発生することが多い。一般にやや湿潤な場所に発生しやすい。本菌による被害は軽微である。菌糸の生育適温は約25℃。
対策
水はけ、風通しの良好な場所でほだ木作りを行なう。
雑草の刈り払いや落葉の除去につとめる。
 

ヌルデタケ

ヌルデタケ
 
   
ヌルデタケ
特徵
茎は傘の背面につき、懸垂状~洋盃形で人の鼻の形に似た小形菌である。傘の直径2~5㎜
高さ5~10㎜、傘の背面および茎は煙草色~茶褐色で、細かい粉毛を有す。傘の下面は倒皿状にくぼみ・灰白色・管孔を有す。古くなると全体灰褐色~灰白色となる。肉は白色、厚さ1~2㎜、柔軟な皮質、管孔の長さは1㎜。
発 生
乾きやすい薄皮、小径木の初年ほだ木に発生が多い。一般にやや乾き気味の伏せ込み環境に発生が多いとされているが、乾燥不十分な原木を使用した場合には本菌の発生するような場所で、シイタケ菌糸の伸長は良好といわれる。材の腐朽力はきわめて弱く、本菌による被害は軽微である。菌糸の生育適温は約25℃。
対策
特に小径木、サクラ肌といわれる薄皮のほだ木は、原木時代から直射日光をあてないようにする。
 

ニクウスバタケ

ニクウスバタケ
 
   
ニクウスバタケ
特 徵
傘はほぼ半円形、扁平で不規則に屈曲していることが多い。大きさ1~3cm、厚さ1~2㎜ 皮質の小形のキノコで、多数のものが屋根瓦状に群生する。根もとは背 着して上下のものが連なりあう。傘の背面は材色~赤褐色、無毛、なめらか、縁は薄く鋭い。肉は薄く、材白色で 乾けば堅い。傘の下面は長さ1~2㎜の薄歯状の突起が密生するが、ときに不完全な管孔を形成する。材白色~肌色。
発 生
発生および被害は軽微であるが、本州以南の湿度の高い場所に発生しやすく、材の白腐れを起こす。菌糸の生育温度は25~30℃。
対策
通風、排水良好な場所を伏せ込み場として選定する。原木の乾燥を十分に行なう。
 

トリコデルマ・ハルチアナム

トリコデルマ・ハルチアナム
 
   
トリコデルマ・ハルチアナム
特徵
この種もトリコデルマ・ビリディと同じように多くの系統(株)があり、シイタケ菌糸の被害も系統によって違いがある。この写真は木歯が種駒表面から侵入し、繁殖している場合である。本菌の分布は全国的であり、シイタケほだ木に激害を与えているのも本菌である。初期侵 入は原木に接種した種駒表面から起り、シイタケ菌糸が 蔓延した後の後期侵入は樹皮損傷部、シイタケの採取跡、シトネタケ、クロコブタケその他の害菌に寄生した状態でほだ木内部に侵入する。
発生
5月上旬の初夏からすでに種駒表面での発生が認められ、雨の多い梅雨期を最盛期として8月末頃までは発生 率が高い。胞子発芽の好適湿度(関係湿度)は93%以上であり、他のトリコデルマ諸種が95%以上の湿度を要求する性質と異なっている。菌糸の発育温度は25~30℃が 好適である。
対策
トリコデルマ・ビリディの防除策に同じ。
 

トリコデルマ・ビリディ

トリコデルマ・ビリディ
 
   
トリコデルマ・ビリディ
特徴
この種は多くの系統(株)に分れていて、抗菌性の弱い系統から強い系統までいろいろであるが、写真に示した系統は抗菌性も強く、初期侵入はシイタケ種駒表面(写真)から始まる。 またシイタケ菌糸が蔓延した後の後期侵入はほだ木樹皮の損傷部あるいはシイタケの採取 跡およびシトネタケ、クロコブタケその他害菌に寄生した状態でほだ木内部に侵入する。
発生
5月中旬~9月ぐらいまで、気温が上昇する夏期を中心に多湿な伏せ込み地またはほだ場のほだ木上に発生 しやすい。菌糸の発育温度は25~32℃が好適である。
対策
原木3分紅葉の適期に伐採し、葉枯らしをした原木を使用する。伏せ込み地の地形, 環境およびほだ木の積み方は、通風がよくなるように選択、工夫する。裸地伏 込みの場合は、
葉を落した枝条を笠木材料とし、降雨後ほだ木表面が乾きやすいように努めるさらに夏期は伏せ込み地の除草を3回以上行ない、高温多湿にならないように努める。積極的な防除法は初期侵入口となっている種駒表面に煮沸フーローを塗布することによって完全防除をはかる。
 

ヒポクレア・ニグリカンス・フォルマ・オクトスポラ

ヒポクレア・ニグリカンス・フォルマ・オクトスポラ
 
   
ヒポクレア・ニグリカンス・フォルマ・オクトスポラ
特徵
本菌はトリコデルマ・ハルチアナムの一系統(株)のボタンタケ(キノコ)時代である。
このキノコはかさぶた状の子座の内部に子のう殻を形成し、その中で子のう胞子が作られる。この写真は種駒表面に直径約 1㎜内外の黒褐色子座ができているもので、この種の子座は種駒表面の外に被害ほだ木の木口にも形成されるが、大きさが極めて微小な上に、黒味を帯びているために確認しがたい。
発 生
最初はカビ状で発育し(トリコデルマ・ハルチアナ ス・フォルマ・オクトスポラ)が発生してくる。環境条件がカビでの発育に不都合な状態に変化すると菌糸塊の中にボタンタケ(ヒポクレア・ニグリカンス・フオルマ・オクトスボラが発生してくる。
対 策
トリコデルマ・ビリディ、トリコデルマ・ハルチアナムの防除策に同じ。
 

ヒポクレア・パキバシオイデス

ヒポクレア・パキバシオイデス
 
   
ヒポクレア・パキバシオイデス
特徵
最初植菌種駒上あるいは樹皮損傷部など、シイタケ菌糸の露出した部分に白色のカビが生育し樹皮面にも広がる。その後、白色カビ(白色トリコデルマ)の菌叢内に径1~4㎜、
厚さ1~3㎜の肉質半球形のキノコ(子座)を形成する。この子座はたがいに癒合して不規則な形になることもある。初め子座の色は淡黄白色であるが、成熟すると汚黄褐色を呈する。
この子座は乾燥がつづくとほだ木から落下し姿を消す。本菌のカビの時代はまた湿 性トリコデルマと通称されている。
発生
梅雨期および融雪期に多湿圃場に集中して発生する。本菌は抗菌力が強く、全国の25~30%のほだ場で被害を与えている。菌糸の生育適温が20~25℃と低いため、高温乾燥期にはシイタケ菌糸への侵害を停止する。
対策
含水率の高いほだ木に発生が多いので通風、排水を良好にし、ほだ木含水量の低下をはかる。 平野部、山間部に発生が多いため、ほだ場の選定を十分行なう。本菌の発生したほだ木はフレーム栽培には用いない。
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